福島県立会津農林高校の環境科学科では、高校生たちがウルシの栽培や活用を学んでいます。
指導にあたる須藤聖一先生を訪ねました。
会津漆器で知られる会津地方は、古くからウルシの栽培がおこなわれていました。明治以降すたれていきますが、決して途絶えてしまったわけではなく、林業を営んでいた須藤先生のご実家も、ウルシの苗を育てていました。
会津農林高校では、生徒たちが種から発芽させることから学んでいます。
今年の春に植えた苗、約300本。小さくてもきれいに紅葉しています。
1年半ほど育てた苗は、会津若松市から依頼された植栽地に出荷されます。出荷しやすい大きさを維持するために、苗をあまり大きくしないこともポイントです。
こちらは分根苗から育てているウルシの木。苗木には種から育てる「実生苗」と生育の良い木の根を切り分けて育てる「分根苗」があります。この技術習得も、大切な学習です。会津だけではなく、丹波(京都)や村上(新潟)、奥久慈(茨城)由来の苗木もあり、比較研究されています。
15年ほど経った木には須藤先生による漆掻きの跡。漆掻き職人をしていたお祖父さんから若いころに掻き方を習ったそうです。
ウルシは漆掻きだけではありません。種から蝋を採取することができます。
とくに江戸時代、会津ではウルシ蝋燭の生産が盛んでした。
生徒たちは蝋燭づくりにも取り組んでいます。
右からウルシの種の房、 外皮、 内皮、 種子
この種子の周りに蝋成分が付いているので、須藤先生お手製の機械で熱して搾り取ります。
抽出したウルシ蝋。
和蝋燭に花の絵が描かれた絵蝋燭は会津若松の伝統工芸品のひとつ。今後、会津若松市内の蝋燭屋さんとともにウルシ蝋燭の生産復刻に取り組んでいきます。
また、副産物の取り組みは地元の養蜂家、松本養蜂場さんとも。
須藤先生がご実家の土地に植えているウルシの畑では、会津若松市の松本養蜂場さんと漆蜂蜜を採る計画が進んでいます。
須藤先生は何度も、会津の「文化」を伝えたい、と話されました。
漆器=塗りものだけではなく、木を育て活かし共に生きる会津の文化と産業を、ぜひ次世代に残していただきたい、ウルシピクニックとしてもお手伝いしたいと思います。
須藤聖一先生 Website: http://rnw-moku.jp/rinka.html コンタクト先: s.sutou750@gmail.com
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